戸田城聖の遺産争い


莫大な遺産の名義は書き換えられ、ほとんどが学会に


 戸田の突然の死は、会の内外を問わず、一般に創価学会の迎えた最大の危機と受け取られた。
それはまず、戸田の死自体が彼の唱えていた功徳を裏切って、会員に教義への疑惑を抱かせ、不安や動揺を与えると考えられた。また戸田は後継者を指名する余裕を持たなかったから、会幹部間に第三代会長をめぐっての内紛が生じ、それがひいては同会の空中分解や分裂をもたらすと取沙汰された。さらに、それまでの爆発的な発展が負っていた戸田の卓越した指導力や組織力、人柄の魅力が失われて、以後の創価学会の停滞と困難が予想された。
 折伏攻勢に悩まされていた「邪宗」はこのように考え、喜びと希望的観測とをもって、創価学会を攻撃した。

 しかし、危機意識は残された創価学会幹部の共有するところでもあり、他教団の反撃は皮肉にも、彼らの結束をいっそう強固にする働きをした。
 幹部たちは、前年の十一月に戸田は自らの死を予習していた、その言葉は戸田家の女中が日記につけていると、功徳への批判を打ち消した。
 また戸田の私生活の面、ことに遺産配分は悪くすれば、創価学会の信用問題に発展しかねないものであったが、それをも大過なく処置したようである。

 戸田の妻・幾子は、戸田の死まもない四月二十三日、取引銀行である三菱銀行四谷支店長に、戸田名儀の財産がどれだけ残っているか、調査を依頼した。彼女は、印税と株を動かした儲けが四億円ばかりある、と戸田から聞き、また戸田個人で費消する金は、幾子の父・松尾清一名儀で三菱銀行番町支店に預けられ、その中に自宅の新築資金二千万円も含まれている等のことを知っていた。なお当時、創価学会は出版収入などで、その月収は二億円にのぼると噂されていた。

 が、調査の結果、戸田の死の翌日四月三日、戸田の妾で大蔵商事専務理事でもある森重紀美子により、名儀が書き替えられていることが判明した。そのため仕方なく幾子は、戸田の生前、会長印を自由にしていた秘書部長・和泉美代(大蔵商事社長で創価学会小岩支部長・和泉覚の妻)を通じて、戸田の財産譲渡を会幹部に交渉した。この幹部に、大蔵商事の取締役だった池田も含まれていたかもしれない。

 後日、幹部は戸田名儀の財産は八千万円で、うち二千万円だけを渡すといってきた。どのような事情があったのか、これで戸田家との遺産問題は決着した。また全国の信者から集められた香奠も、幾子の催促のすえ、ようやく六月九日に、四千万円から創価学会葬の費用四百万円を差し引いた残り三千六百万円が戸田家に届けられた。

 戸田には跡部雅子という妹がいたが、彼女も遺産分配を請求した。雅子は岩手県一関市に住み、当時、地元の商事会社社長の二号だったという。彼女は、戸田家からも創価学会からも遺産分配をはねつけられたため、十二月二日上京し、知人を介して和泉美代に折衝し、すったもんだのあげく、彼女の所持する戸田関係書類と引きかえに三十四万円を受け取った。
なお大蔵商事は大蔵屋不動産を経、現在は株式会社大蔵屋(資本金五千百万円)として土木建築等の請負、不動産売買、金融、保険代理の各業務を行ない、系列下に大蔵屋観光、大蔵凰開発、大蔵屋建設等を持つという。
創価学会の幹部たちは、理事長・小泉隆を中心に、団結を合言葉とし、戸田が死の寸前に指摘したという内部崩壊を警戒しあった。

 「(龍年光が)『先生、身延も既に敵でなくなった。ジャーナリストも敵ではない。一体、学会の敵は何ものでしょうか』とおうかがいしましたところ、先生は体を起されてはっきりと『それは内部だよ』とおっしやいました」(『聖教新聞』33年4月18日)
(『池田大作権力者の構造』溝口敦)





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